草原をつくる授業:抜根除草

 草原をつくる授業,今年はもう3年目.この授業は年に4回(2コマ×4回)実施している.今日は今年度の3回目.秋期の植生調査と侵略的外来種の駆除をやる回.駆除方法は今回は抜根除草.一定面積の抜根除草にかかる時間を計るなどして,今後の草原管理計画のための基礎資料とすることも目的としている.
 植生調査では,昨年度までに導入したヤマハッカやウツボグサ,ノアザミなどはすっかり定着して増加傾向にあることが伺えた.ヤマハッカは大きな株に成長してたくさんの花を咲かせており,学生から「かわい〜」と注目をあびていた.昨年6月に播種したチガヤがある程度定着しているほか,アブラススキ(昨年11月播種)の出穂もみられた.ツリガネニンジンは播種から2年目の今年になって茎が立ち,たくさんの花や実をつけている.ツルボは播種から2年たち生残しているが,まだ花を咲かせるにはいたっていない.アキノキリンソウはなくなってしまったかもしれない.この場所は,刈り取り管理は6月と10月の年2回のみで,夏から秋にかけて,セイタカアワダチソウやアキノエノコログサアメリカスズメノヒエなどが上層を覆い尽くすので,そのことが原因かもしれない.しかし,ほんとうに消えてしまったかどうかは,もうすこし丹念に探してみないとわからない.
 夏から秋にかけての藪化はなんとかしなくてはいけない課題.刈り取り管理を夏にやるべき,ってことは昨年からわかってはいるのだけど,今年も実施できなかった.次年度,刈り払い機の講習会を夏に実施して,ここを刈れるようにしたい.
 抜根除草は,セイタカアワダチソウが相手だとたいした苦労はいらない.かんたんに抜けるし,抜いた草の扱いにも難はない.大規模な法面では現実的ではないかもしれないが,公園緑地で草原再生をするくらいのレベルなら,十分対応可能なレベル.やっかいなのはアメリカスズメノヒエだ.大きく育った株は相当の力で引かないと抜けない.また,葉鞘基部に生えている毛がとてもとてもとてもとても性質がわるい.ものすごく細くて白い開出毛が密生してるんだけど,これが指や腕にかんたんに刺さる.密生している毛がまとめてささるので,自分の指や腕に開出毛が密生したような状態になる.まるで毛の移植だ.しかもこれがはしかい(痛くて痒い).おまけに結実した穂がべたついて不快.アメリカスズメノヒエは背丈が高くて密生するので在来種を競争排除する影響も大きそうだし,こんなん,緑化に使うのはやめてほしい.
 抜根除草の作業をしていて気付いたこと.草をぬくときに,草に対して斜面の下側からひっぱった方が力がはいりやすくて抜きやすい.斜面上側からひっぱるのとでは雲泥の差.ぜひためしてみて.