長田武正の図鑑は科の見当がつけられない初心者にやさしい

 1限は基礎演習.他分野から来た学生のための補講科目.5月20日にひきつづき植物の同定.前々回に作成した植物標本の同定をすすめた.
 学生には,まずは科の見当がつけられるようになるまでがんばろうと言ってある.科の見当がつけば図鑑はがぜん使いやすくなるからだ.平凡社の「日本の野生植物」にしても,保育社の「原色」シリーズにしても,山渓のハンディ図鑑「○○に咲く花」のシリーズにしても,科の見当がつかないことにはスムーズに使いこなせない.もちろん,気合いで隅から隅まで絵合わせをして見当をつけることはできるし,そういう作業のつみかさねによって個人の中に識別用の分類体系が形成されていくわけで,じっくり時間をかける価値はある.とはいえ,最初のページから順番に絵合わせをしていって,どれだかぜんぜんわからないまま裏表紙にたどりつくこともままあることだ.なにかしらの方法で,積極的に正解にたどりつけるなら,そうしたい.
 初心者が積極的に正解にたどりつくために,長田武正の図鑑はすごくよくできている.ということに,今日,気がついた.初心者である学生たちを観察してそれに気がついた.保育社の検索入門「樹木」1と2,同シリーズ「野草図鑑」1〜8,平凡社の「イネ科図譜」,いずれも初心者が積極的に正解にたどりつくための工夫が満載だ.またその検索の作業を通じて,植物のどこをどう見ればいいのかが自然に身につくようになっている.
 僕は新入生にオススメ図鑑のリストを毎年渡していて,そこに「樹木」と「イネ科図譜」は挙げていたが,「野草図鑑」はスルーだった.が,科の見当がつけられるようになる前の段階では,草本用の図鑑として,検索入門「野草図鑑」はたいへん優れている.来年度からは,これもオススメに入れておこう.