ゼミ,聞き取り調査

 午前中はゼミ.受けもち学生の1名が発表.プレゼンが苦手(本人曰く,日本語が苦手)な学生だが,今回はかなりよいプレゼンをやってのけた.なんかつかんだか?来週,卒業研究のタイトルの提出期限を迎える.今年ももうそんな季節だ.昨年も一昨年も,ここから最終の発表会まで怒濤の進行で,他の業務はほとんどできなかった.今年はどうなるだろう.ヤラネバも山積していてヤバイ状況になってきている.
 昼休み,明日の授業の下見.苗木の山取をする予定だが,肝心の対象樹種の実生や稚樹があるかをチェック.少ないが,あった.なんとかなるかな.
 午後,明日の授業の準備をしようと思っていたが,学生が卒業演習のための聞き取り調査にでかけるという.初の海辺の集落の方なので,これまでとは異なる情報を聞き出せる可能性が高い.同行することにした.「浦」とよばれる海辺の集落と,「里」とよばれる段丘上の集落が隣接している地域.浦のひとびとは里から様々なものを得ていた.たとえば,稲藁.山間の集落では牛の餌や敷き藁として使われていたが,ここでは蛸漁のための延縄として重要だった.帆や碇の縄にはシュロを使った.綿の漁網には柿渋で防腐処理をした.縄や網の材料となったのは,藁,シュロ,ワタのほか,マオやマオランが使われた.マオランは別名ニューサイラン.今は観葉植物として人気だが,もともとは繊維材料として使われていた.このように,彼岸花のたこいもの他にも,漁業と関連した植物利用がいろいろとあった.これらの植物は,浦ではなく,里の庭先や路傍,畦畔などで栽培され,あるいは自生していた.かつては,里のどの家の庭先にも,渋柿とシュロが植わっていて,また,あちこちにマオランがあった.浦にはそれほど余分の土地がないので,里で栽培され,あるいは自生している植物を,浦の住人が利用していた.稲藁やマオランを叩くのは水車小屋でおこなった.水車小屋は川にある程度の落差があるところ,河床勾配の急なところに立地している.それらは海岸近くではなく,少し内陸にはいったところ.稲藁を水車小屋まで運ぶのは,浦の子ども達の仕事だった.聞き取り調査の帰路,里をすこしまわる.かつてのなごりで,シュロのある庭がいくつかあった.マオランが路傍に生えているところがあった.渋柿はわからなかった.
 夕刻,満月をながめつつ学校にもどった.さて,あしたの授業の準備,ラストスパート.