どんざ,たこいも

 淡路島の漁師がつかっていた外出着に「どんざ」というものがあった,という話を校長先生がしてくれた.どんざは藍染めの綿布を3枚,刺し子で縫い重ね,模様縫いをしたコートのようなもの.船の上での防寒着としても使われていた.このどんざが美しいからぜひ淡路市の歴史民俗資料館にあるのをみてみて,と進められる.
 で,小学校の帰りに淡路市立歴史民俗資料館に立ち寄ってみせてもらった.校長先生が,「こういう人がいまからいくから」と事前に連絡をしておいてくださったので,館長さんがじきじきにどんざを解説してくださった.ここに展示してあるどんざは,アメリカの博物館にも巡回していったそうだ.
 いい機会なので館長さんにタコイモ(ヒガンバナの塊茎)のことについてたずねてみた.これまでの僕たちの聞き取り調査では,たこつぼにいれて使ったらしい,という話と,疑似餌として針につけたらしい,という話の両方があって,どうもはっきりしないので気になっていたのだ.館長さんのこたえは,両方あった,ということであった.ついでに,疑似餌のついたイイダコ漁の針をいくつかみせてもらった.そのなかに,疑似餌がついていなくて疑似餌の台だけがあるものがあった.そこにたこいもを結わえ付けたのだろう.館長さんによると,漁師さん達はちょっとでもよく釣れるように,いろんな工夫をする.疑似餌の色や形もさまざまだし,針のおおきさも様々.バリエーションはとても豊富だけど,それらはすべて工夫と試行錯誤によるものだと.たしかにそうだろうなあと納得.

イイダコ漁の針.竹の台と針からなる.竹の台にタコイモをくくりつけたのだと思われる.