マテガイ

 matsut氏に誘われて,干潟へマテガイを採りに行った.
 引き潮の時間にあわせて現地入り,matsut氏から採り方を教わってやってみた.干潟の地面をさくっと斜めに10cmくらい掘り返す.場所が当たりだったら,マテガイの穴があいているので,そこに食塩をふり入れる.しばらく待っていると,にゅー,にゅにゅーっとマテガイが飛び出してくるのでそれをつかまえて引っぱり出す.このマテガイの出てくる様がたいへんにかわいらしい.おもしろい.また,マテガイを干潟の地面においてみると,一所懸命に穴を掘ってもぐっていく.もぐるときにぴょこっと立ち上がるさまもまた.
 しかし,こうした面白い瞬間の写真や動画をとるのをすっかり忘れていた.だいたい,手が泥だらけなのでカメラを手にしようという気にはあまりならない.こういうときのために,家庭でもG600を導入してもよいかも.
 採りはじめはどの穴がマテガイの穴かわからなかったが,それもすぐにわかるようになった.簡単にいえば,マテガイの殻の断面とおなじ形状の穴がマテガイの穴だ.近ければ10cmおきくらいでマテガイの穴があったりする.けっこうな密度でいるのだろう.
 潮干狩りをしている人のうち,アサリ狙いの人は汀線にあつまるようだ.これは掘った泥を海水で流してアサリを確認するためだろう.一方,マテガイを狙うには水は邪魔なので,水面よりすこし高い場所を選ぶのではないか.つまり,マテ狙いのひとたちは汀線から数メートル陸側にいるのではないだろうか.干潟全体ではけっこうな人出だったけど,持続的利用の範囲内なのか,ちょっとだけそれが心配ではある.さきの捕獲場所の違い仮説に沿って人々をみていると,マテ狙いは少数派であるようだ.
 干潟をほっていると,ときどき,泥が黒く,田んぼの還元層なんかとおなじような臭いがする場所があった.そういう臭いのない場所もある.干潟の地中も案外,環境が不均質なようだ.
 マテガイ20本ほどと,オキシジミを十数個捕獲して帰った.とてもおいしくいただいた.マテガイは試しに塩だけの味付けで食べてみたら若干の泥臭さがあったが,レモン醤油やポン酢でたべると臭いが気にならず,貝の甘みやうまみを引き立てることができた.味はとてもよい貝だ.
 帰路,おいしいウナギを食べた.ウナギは大好物なのでおかわりしたかったが,それは断念した.干潟でシギチの観察もしたくてフィールドスコープを持って行っていたが,それはすっかり忘れていた.帰りのスーパーで,のれそれ(ウナギアナゴのレプトケファルス幼生)を売っているのをみたが,今夜のメニューはマテガイと決まっているので,見送った.日焼けがひりひりする.