ハニクラ始動

 3月5日の日記に書いたが,退官する芸術系の教員Mさんからハニークラブ(養蜂研究会)を引き継いだ.3月14日には(学会準備・出発直前の慌ただしい中で)学内の巣箱の位置や当面やらねばならないことを伝授された.曰く「ソメイヨシノが咲く前に,巣箱にのこっている古い巣を撤去し,巣箱の中にいる寄生虫などを殺すためにガスバーナーで消毒せよ.しかるのち,巣箱をもとどおりに設置し,シュロ縄や重石で固定せよ.それだけやっておけば,次は夏まですることはない.夏には蜜を収穫する.わしはそのころまたやってきて,収穫の仕方を伝授してやる」.
 さて.そうこうするうち,気候はどんどん暖かくなってきた.学校は標高高いところにあるので,まだソメイヨシノは咲いていないが,咲く寸前といった状態だ.本日,養蜂に興味のある学生19人とともに,巣箱の消毒を決行した.ぽかぽかとした陽気の中,雑草の観察などを交えつつ,Mさんから伝授された巣箱のありかの地図(これがまた,模造紙に適当にかきなぐったいいかげんな芸術的な地図で,巣箱に行き着けるかどうか危ぶまれる代物であった)を頼りに,ひとつひとつ巣箱を発見しては消毒していった.なかにはすでにミツバチが出入りして活動開始している巣箱があり,これについては消毒をあきらめた.
 巣箱のうちいくつかはミツバチ用の出入り口以外にも穴があいていた.スズメバチがかじって穴を開けて侵入したりするようだ.そういう巣箱は補修が必要だった.ほかにも巣箱の多くは老朽化がはげしく,いくらかは新設したほうがよさそうだ.巣箱の中にスズメバチの死骸がいくつかころがっていた.ニホンミツバチは熱球をつくってスズメバチに対抗する.このスズメバチの死骸は,おそらくミツバチに返り討ちにあってしまったものだろう.スズメバチの死骸を見てちょっと興奮した.
 ひとつ,とても重たい巣箱があった.裏返してみると,昨シーズンの蜂の巣が大きいままのこっている.なぜか蜂はいない.この巣を撤去しようとしたら,蜜がたっぷりつまっていることがわかった.あわててこれを収穫した.三角コーナー用の水切りネットに巣を入れて軽く絞ると,大量の蜂蜜がとれた.洗面器に2杯ほどの蜂蜜だった.学生たちは夕方,この蜂蜜でホットケーキパーティをしたそうだ.僕は所用でそれには参加できなかったのが残念.ちびくろサンボのように,たくさんのホットケーキを食べたことであろう.