淡路緑花フォーラム

 プレゼンの準備で,寝不足ぎみ.
 うつくしさとおもしろさのはなしをするのはやめにした.かわりに,植えない緑化の話をすることにした.プレゼンの内容は次のとおり.
 ・(いただいたお題)淡路島らしい緑花のために,淡路島の野の花を見直す
 ・淡路島らしいってなんだろう?そのひとつに棚田の畦畔の植生があげられる.
 ・棚田の畦畔について詳しく見てみよう.こんな花がある(といろいろな自生種を紹介,ワレモコウなど,会場からは最近みなくなったなどの声も)ひとしきり,きれいな自生種の花の写真を提示.
 ・自生種による緑花を考えているひとたちに,おねがいしたいことが2つある.
 ・ひとつは,「自生種を使う緑花」から「自生種を大切にする緑花」へ.これはどういうことかというと,自分たちが花壇に植える自生種だけでなく,周辺の自生個体群を大切に,という意味.かみ砕くと,地域性を無視した自生種の導入は,周辺の自生種への影響があるので,そんなことをしないでほしいということ.(花壇をつくる場所にもともとの植生がある場合,それをこわさないでほしい,ということもあげればよかったか.フォーラムでは言い忘れたが)
 ・もうひとつは自生種緑花の活動を「自生種の生える景観の保全」に発展してほしいこと.花壇に自生種を植えるという緑花の目的はなにか?目的は,地域の自然を活かした修景にあるだろう.したがって,地域の本来の植生景観をとりもどす活動も,広い意味では「自生種による緑花」に含まれる.
 ・さきほど紹介した畦畔の草原は,圃場整備や管理放棄による衰退が進んでいる.圃場整備の状況や,管理放棄の現状を写真で示す.畦畔草原などの保全活動(管理継続や,整備後畦畔での植生回復)を,自生種による緑花活動として取り組んでみてはどうだろうか.
 だいたいこんなかんじ.なお,この講演では,僕のボスが,自生種緑化の課題・問題点についてはきちんと説明していたので,ぼくのはそれを受けての補足と提案という感じだった.

 質疑応答というかパネルディスカッションみたいなのがあった.いくつかの質問と回答をメモしておく.
 「Q.地域ごとにおすすめの自生種はあるか」「A.ここなら何,ってぐあいの具体的な回答を期待されているだろうけど,そういう答えはない.もし,自生種による緑花をやろうとおもったら,計画地の周辺で,たとえば圃場整備がされていない畦畔とか,自然な植生ののこっている川辺などを対象に,どのような植物が生えているのかを1年間,じっくり調べてみて欲しい.自分たちで身の回りの植物を調べることは,それ自体とても楽しいので,ぜひそこからやってみてほしい.植物がわからないときは,持ってきてくれたら調べます.県立の博物館を活用するというテもある」
 「Q.圃場整備に関して,表土の利用による保全は可能だろうか?」「A.圃場整備の際に表土を保全しておくとか,あるいは翌年工事予定の畦畔の表土を当年工事で整備した畦畔に導入するなどの方法は有効かもしれない.地域の圃場整備でそういうことに取り組めるならば,ぜひやってみてほしい.そういう保全の例は意外と少ないので,やってみたらその結果がこれからの保全のための有益な知見をもたらすとおもう」

 追記:畦の植生について,ここでは棚田の畦を中心に話をしてしまったが,平野部の農耕地でも同じことがいえたはずだ.そこのところ,焦点のあてかたをまちがってしまったかもしれない.また,整備後圃場でどんな種が消えてしまうのかということについては,既存の研究を紹介して,具体的にデータを示すこともできたけど,しなかったなあ.これらの点は反省.