アウェイでプレイ

 この手の演習で,ぼくが難しいなあとおもうのは,理屈だけですすめられないというところだ.理屈と感性の両方で話を進めなくてはいけないらしい(Y先生によると,理屈と感性のバランスは永遠の課題だそうだ).ぼくは感性の部分に関しては,学生に教えられるようななにかを持っているわけではないので,あまり口を出せない.ただ理屈で収まる範囲で見守る.もうすこし勉強すれば,“理屈で収まる範囲”はひろがると思う.この分野には理論や定石が膨大に蓄積されているみたいだから.とりあえず僕は「習わぬ経を読むために聞き耳をたてる門前の小僧」になっている.
 造園学あるいは造園業と,生態学・植生学・保全学のものの見かたは,ときに大きな隔たりをもっているように感じることがある.その隔たりを越えて何かを伝えるためには,相手側のものの見かた・考え方などを知っておいて損はない.その意味で,ここの授業や演習は,学生だけでなく,僕自身にとって勉強になることが多い(学生たちはまた,彼方此方を意識することなく,双方の,いやそれ以上のものの見かたを学ぶ機会を与えられているのがここの面白いところだと思う).
 こないだの植生学会のときに,僕がこの学校のカリキュラムなどについて知人に話をしたら「sawagani550はアウェイでプレイしてるんだね」といわれた.いや,景観園芸というのは分野横断的なので,生態学や植生学にとってもホームではあるんだけど.まあ,たしかに演習の内容なんかでは,アウェイに立っているときもあるかも.
 でも,アウェイでプレイすると,ホームでは得られないものを得られるので,ありがたいことであるなあ.というのがいま思っていることだ.